初めての調停 調停期日通知書が届いたらどうする?

それは裁判所から突然送られてきます。

裁判所からの書類なんて普段の生活で見る機会なんてないと思います。当然に「ビビります」「焦ります」「封筒を開けながら胸の高鳴りを感じます」

もし家に家族がいたりして「深夜に仕事から帰宅したらテーブルの上に置いてあった」なんてシチュエーションだってあると思います。実際これは私が経験したパターンで親族に調停を起こされたのを知られてしまいました。

まずは深呼吸しましょう

さて話を戻しますが、もう書類が届いたら「落ち着くしかありません」

どのような内容の申立てか一呼吸入れて確認してください。この段階での申立内容はあくまで「相手方の主張」です。殆どの場合その内容は一方的な内容で、もし慰謝料請求などの場合は相場より高い金額を請求してくるはずです。もしそれに納得出来ないのであれば、しっかりと自分の意見、事実、主張をすれば良いので、とにかく焦らないようにしましょう。

調停期日の確認

次に調停期日を確認します。第一回目の期日は「貴方の予定を一切考慮しないで送られてきます」おおよそ書類が届いた1ヶ月後位に設定されていると思います。そして調停は平日にしかやっておりません。午前に一つの枠があって、午後には二つの枠があります。そのどれかの枠が指定されているはずです。

私の場合はある程度時間調整が出来る仕事でしたが、9時~18時勤務の会社員には厳しい時間帯が多いと思います。調停は1度で終わることは希なので数か月は仕事を休むなり早退する事になると思います。会社の同僚に「俺、元相方から慰謝料の調停起こされたから仕事休むよ」なんて言えないから仕事休むの大変ですよね。ちなみに、一回目の調停期日に参加出来ない場合はその旨を裁判所に伝えれば違う日程を検討してくれます。

間違っても「相手の主張があまりにも常識外れで相手にしたくない」と言う気持ちでも「無視」だけは避けましょう。後々の調停で調停委員からの印象がマイナスになる可能性もあります。もしこれが調停ではなく裁判、訴訟案件なら「相手方の主張を認める事になってしまいます。」

また希に裁判所からの通知の前に相手方の代理人、弁護士より「内容証明郵便」などで書類が届くことがあると思います。これは「このような内容で調停を申し込みましたよ」と事前報告のような内容だと思って下さい。

私の場合には弁護士事務所に所属するであろう弁護士全員の名前と大きな「印」が押されていました。その数15人でした。相手方の弁護士も仕事なのでプレッシャーは掛けてきて当然だし、精神的につらくなる時もあると思います。けど、冷静に考えれば自分一人でも対応可能だと思って下さい。

答弁書に答えて裁判所に書類を郵送

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届いた調停申立書と一緒にA4サイズの「答弁書」と言う書類が入っていると思います。一部要約しますが内容は以下となります。

1、「申立ての趣旨についてあなたのお考えを記載してください」と書かれています。回答欄は3択になっておりレ点を入れて答えます。
「申立ての趣旨のとおりである」「申立ての趣旨には反対である」「検討中である」

2、「申立ての理由についてあなたのお考えを記載してください。」と書かれています。回答は2択で同じくレ点を入れて答えます。
「そのとおりである」「異なっている」

3、「その他、あなたのお考えがあれば簡潔に記載してください」
この欄には自分の主張を書きます。

内容的には非常にシンプルな回答方式です。これは当日の調停をスムーズに進める為の事前資料です。

この内容だけでも「相手の主張を認める」「認めない」の意思表示は出来ます。
しかし私はこれだけでは十分で無いと思い、別途で自分の主張をまとめました。
相手方の資料が事細かに書かれていたので覚えている限り、それに一つ一つ対応して書きました。
例えですが「私はこんな酷い事を言われた」と書かれていたとします。それに対し「会話の一部を取り上げているのであって、前後の会話がすべて無視されている」「それは勝手な解釈で認めれない」と言った感じです。
実際、調停や裁判を起こしてくる訳ですから相手方を全面的に非難する内容で「いかに自分に非が無いか」に終始しています。私の場合は相手方の書類が10ページ位あり、それに回答したので同じく10ページ位の資料になりました。

非常に時間も掛かるし精神的にも大変ですが「自分の主張を確認する」「ここだけは妥協出来ない」と言う部分を確認する意味でも大事だと思います。もし仮にここまでの時間が取れないにしても、簡単なメモで自分の頭を整理しておく事をお勧めします。

また「進行に関する照会回答書」と言う書類も入っているかもしれません。これも当日の調停をスムーズに行うための事前アンケート的な感じだと思ってください。

なお答弁書の書式はホームページ等で詳しく説明してるのが沢山あると思います。私もそちらを参考にして作成しました。

私が感じた事ですが調停委員の方は年配の方が多いので小さい文字は読みにくいようでした。「少しだけ大きな文字で行間を少し広め」にすると読みやすいようです。

調停日前日の最終チェック

「答弁書」を指定された期日までに裁判所に郵送したら後は当日を待つだけの状況になります。私の経験から前日に改めて確認をした方が良さそうな事を数点。

1、「自分の作成した答弁書を必ず確認、読み直しましょう」

答弁書には自分の主張が書いてあると思います。それは嘘、偽りの話では無くすべてが「自分の体験した事実」だと思います。特に意識しなくても「自然と頭に浮かんでくる」事のはずです。しかし、裁判所、調停室と言う独特の雰囲気の場所では緊張して「言葉が出てこなくなったり、うまく説明出来ない」場合が十分にあります。なのでもう一度内容を読み直して確認しましょう。もし答弁書を郵送した後で「この部分は説明が十分で無かったな。。。」と思える場合は、当日に補足として説明しても良いし、追加資料として持参しても大丈夫です。

2、「自分が妥協出来ない点」を再度明確に。

これは本当に大事な部分だと思っています。1回の調停は約2時間前後で実際に自分が調停委員の人と話す時間は半分の1時間位だと思います。時間が経ってくると疲れて「もういいかな。。。」「やっぱりお互い様かな。。。」なんて気持ちが弱くなる一瞬があります。特に何度か目の調停になると「もう早く終わらせたい。。。」なんてなります。そこで妥協すると必ず「後で後悔します」。私も過去の経験で「失敗したな」と言うのがあります。

次に当日に持参する持ち物のチェックです。
1、自分が資料として提出した書類は必ず持参しましょう。
2、調停期日通知書
当日は控室で待機しますが、名前ではなく書面に書かれた事件番号で呼ばれます。
3、手帳やスケジュール表。
一度で調停が終わる事は希です。その場で次回の日程を決める事になります。
これは自分のスケジュール、相手方のスケジュールもありますが、調停委員の方のスケジュールが優先されると思って下さい。
調停委員の方は多くの案件を抱えています。曜日の指定は難しいと思いますが「午前」か「午後」の希望位はお願いしても良いと思います。
4、認印。
これはどんな時に必要になるか解りません。念の為に持参しましょう。
5、時間つぶしの出来る物。
相手方が調停室にいる時は控室で待機する事になります。通常なら30分程度ですが、長い時はかなりの時間待たされます。私の場合は本を持参しました。

後は当日に慌てないように行き方の確認ですね。私の場合は電車利用で「相手方とばったり駅で会う」と言うのが嫌だったので早めに行って控室で待機しました。それでも一度、元相方の後ろ姿を駅で見つけて焦った事がありましたけどね。

調停日当日 控室の様子

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スムーズに進めば調停期日通知書が届いてから約1ヶ月後に調停日を迎えるはずです。
調停内容によっては控室に行く前に受付を済ます場合もあるようですが、私が体験した「養育費」「面会交流」「慰謝料」の調停はすべて直接控室に向かい待機するように指示されていました。

2ヶ所の裁判所に行きましたが、いずれも建物の中央にエレベーターがあり、エレベーターを中心にして左右に建物が振り分けられている感じです。左側は「申立人」右側は「相手方」の控室があるような感じです。申立人と相手方が顔を会わさない為の配慮だと思います。*申立人とは調停を申し込んだ人。相手方とは調停を起こされた人です。

控室は裁判所によって違いますけど、複数の長椅子があってベビーベッドもあります。広さ的には10畳位だったような気がします。(私が体験した2ヶ所とも同じような作りでした)

申立人の控室には同じ申立人の立場の人が待機しています。同じように相手方の控室には相手方の人が待機しています。私の時は常に10組位の人達がいたと思います。ちなみに、この10組と言うのは人数ではありません。

私は過去の調停、裁判とも一人で対応したのですが、代理人の弁護士と同席している人もいます。なので実際に部屋にはマックスで15~17人位いたと思います。割合的には「当事者一人の人と弁護士同席の人が半々かな?」と言った感じです。
ちなみに控室には当事者、弁護士だけでなく家族なども入れますが、調停室には当事者と代理人の弁護士しか入れないようです。(介護が必要な人は別かな?)

さてこの同じ立場の控室ですがそれぞれ各自で「案件」が異なります。私は「面会交流」「養育費」関連がメインでしたが「離婚調停」「親権」「相続関連」の人も多かったです。

「えっ? 何でそんな事解るの?」と思うかもしれませんね。私も初めて調停に参加した時にビックリしたのですが。。。弁護士と当事者の打ち合わせの声が小さくても部屋が狭いから聞こえてしまうんです。

だから「あっ、この人は離婚して親権で揉めているんだ。。。」とか「親の財産相続になって兄弟姉妹で揉めているんだ。。。」とか解ってしまうんです。中には「話の内容を聞かれたくない」と思う人もいて、弁護士の方と部屋を出て廊下で打ち合わせをする人もいます。しかし、弁護士の人と「当日に控室で待ち合わせ」と言うパターンも多かった感じです。そうすると必然的に控室で打ち合わせをせざるを得ませんよね。私だったら「他人に自分の悩みを知られるようで嫌だな~」なんていつも感じていました。

調停委員ってどんな人?

控室で待機していると調停委員の方が呼びに来てくれます。「どんな人が自分の話を聞いてくれるのか?」ってやっぱり気になります。プロフの通り離婚を通じて過去に5度の調停を経験しています。そんな私が調停委員さんに感じたイメージをお話したいと思います。

それは率直に言うならば「妥協案」を提案してくる印象があります。

私は申立人、相手方と2つの立場に立ちましたが親身になって話を聞いてくれたと思います。今まで人に話せなかった苦労話や精神的な悩みも聞いて貰いました。そしてこれからどうして行きたいなど。その点では非常に感謝しています。

しかし調停と言う制度の立場上「出来る限り当事者間で納得出来る問題解決を」「お互いに妥協点を見つけて少しでもしこりを残さないように」と言うのが会話の中で感じ取れました。特に、私の調停内容が「面会交流」「養育費」と言う内容だったから「子供が成人するまでは最低限は元夫婦として子供の為に協力して下さい」と言う意味あいが強かったせいかもしれません。

ちなみに過去5度の調停ですが東京管轄の裁判所で3度、隣県の裁判所で2度行いました。東京では60代の男性と40代と思える女性の計2名の同じ方に、計3度の調停を担当して頂きました。同じく隣県で行われた2度の調停も同じような感じで60代の男性と40代と思える女性の計2名の方に、計2度の調停を担当して頂きました。

後で確認したのですが、決まりと言う訳ではないようですが、男女1名ずつのこのパターンが定着しているようです。この調停委員の方ですが弁護士の資格を有する人、専門的な知識を持っている人、社会生活で豊富な知識を持っている人がなるようです。

調停の進み方

さて、控室で待機していると、調停委員の方がポツリポツリと控室に入って来ます。
そして名前ではなく事件番号を呼ばれます。

基本的には「申立人」の意見を最初に聞くので、自分が「相手方」の立場の場合、調停委員の方から「先に申立人のお話を聞くので、もうしばらくお待ち下さい」と言われると思います。10分~長い場合だと30分位でしょうか。時間が長く感じます。この時、調停室では申立人が「調停を起こした経緯や自分の主張」などを調停委員の方に説明しています。この説明が終わると調停委員の方が自分を呼びに改めて控室に来てくれます。そして控室に入り、調停委員の方の質問に答えたり自分の主張を聞いて貰う事になります。これを交互に繰り返すような形で進行して行きます。

基本、1回の調停は2時間程度だと思って下さい。なお、1回目の調停でお互いに納得するような結論が出る事はまず無いと思います。そして最後に次回の日程を決めて終了となります。スムーズに行っても数回、長い時には半年位の時間が掛かる覚悟が必要です。

それと大事な事ですけど、調停は調停委員の方から「こう言ってます」「こうしたいようです」と言う形で相手の意見を伝達して貰う形だと思って下さい。

調停委員の方も一日の仕事が長丁場であり、非常に疲れる仕事だと思います。時に見た感じで「この人もう疲れてるな」と感じる時もありました。

なので時に調停委員の方自身が相手方の真意を捕らえていない場合もあると思います。
そうなると当然に時に違ったニュアンスで物事が伝わってきます。その逆もありきで「私の言いたい事が上手く伝わってないな」と思うときが何度かありました。

そんな時は、念を押して自分の意見を復唱して伝えたり、相手方が言って来た要望を改めて確認して欲しい旨を何度か伝えた事もあります。この部分はネットや弁護士事務所のホームページ等にあまり記載されていない事だったので参考に。

調停を有利に進めるために

ネットの情報でも同じような意見がありますが、私の経験からも調停を有利に進めるには「調停委員の方を味方に引き込む」。これにつきます。

「味方に引き込む」とは「調停委員の方に相手を説得する気になって貰う」と言う事です。調停委員の方は「中立な立場」が原則です。しかし、調停委員の方との「挨拶にはじまり、話し方、態度、身なり、具体的な事実を証明出来る資料、誠実さ」などの総合的な判断で多少なりとも「こっちの人の意見がもっともかな」「相手方に非があるな」とどちらかに考えが偏ると思います。そうなると「こちらの人の主張を相手に説得しよう」と言う気持ちになります。

具体的には社会人として基本的な事ですけど、第一印象である挨拶は大事な事だし、身なりだってそれなりにキチンとした格好をするのは必要。相手の話を聞く時の態度だって、椅子に深く腰かけていたり、落ち着きなく座っていたら印象は悪いです。話し方も相手を威嚇するような言動や感情的にまくし立てるような主張も印象が悪いと思います。「この人は家庭でも相手方にこんな感じで接しているのかな」と思われてしまうでしょう。

またこれは私だけが感じた事かもしれませんが参考に書きます。調停委員の方は「基本2名体制で男性1名、女性1名」です。最初のうちは緊張して解らなかったのですが、二人の関係は「対等」では無く、多少なりともどちらかの一人が「主導権を握っている」ように思えました。

私の場合は男性の調停委員の方が70歳前後の人で「正直話が上手く伝わってないな」と感じる時が多々ありました。それに対して女性の調停委員の方は私の言葉足らずの説明でもシッカリ理解して頂いている事を感じました。その方は年代的にも私と同じ程度で価値観も近かったのかもしれません。

本当に効果があったのか解りませんが、私は極力話を理解して頂ける、価値観が近いと思える調停委員の方に重点を置いて自分の主張をしました。

調停委員の方からのアドバイスについて

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調停を進めて行く中で調停委員の方のアドバイスなどを聞いていると「私の考え方が間違っているのかな?」「ここはアドバイスを聞いた方が良いかな?」と一瞬悩む時があります。

けど、これは本当にケースバイケースで何が正しいのか誰にも解りません。ただ1つだけ頭の隅に入れておいて欲しいことがあります。それは「調停委員の方のアドバイスは絶対ではない」と言う事。

慰謝料を請求された調停ではアドバイスとして「妥協して30万円位で和解出来ませんかね。。。?」言われた事がありました。私は慰謝料が発生する理由はないと自信があったので断りました。相手方も最終的には調停を取り下げました。

そして数年後、慰謝料200万円の「裁判」を起こされました。判決は「相手方の主張は却下」「裁判費用は原告とする」と言う結果でした。結果論かもしれませんが調停委員の方のアドバイスは根拠が無かったと言う事になります。

今思うと当時の調停委員の方の「ここは妥協して30万円。。。」のアドバイスは「調停の場で問題を解決させよう」と言う気持ちが強かったのだと思います。私はたまたま多少の知識があったので「この話は受け入れるべきでない」と思ったので拒否しました。しかしこのアドバイスを受けた人が「特別に何の知識も無く一人で調停に臨んでいる人だったら?」と考えてしまいます。もしかしたら「調停委員の人のアドバイスだから裁判になったら30万円位で決着する内容なのかな」「裁判になったら面倒だから、この金額で進めて貰おうかな?」なんて考えるかもしれませんね。

調停委員の方は「当事者に問題を解決させよう」と言うのが基本的なスタンスです。その結果、時に「妥協案」を提案することもあると思います。あくまで私見ですが「調停委員の方の発言はあくまで参考程度」にするのがベストだと思います。